Say Love Me Girl 1

新学期。あたしは学校へ向かう土手沿いの道を自転車で走っている。まだ遠くに見える学校は桜の花びらで目一杯化粧をして、新入生とその父兄の新たな門出を歓迎していた。もう通い慣れたつまらない道だけど、春の陽気につられてちょうど一年前に初めて通った時のことを思い出し、あたしは新鮮な気持ちを取り戻す。成長を見越したオーバーサイズの制服に身を包んでいる新入生を見ると一年前の初々しい自分を思い出し、あたしはちょっと気恥ずかしくなった。「おはよー。のっち。朝からなににやにやしてるの?」すぐ後ろから声がする。小さくて端整な顔から小動物のような愛らしい目がとても興味ありげにこちらを覗き込んできた。彼女はかしゆか。あたしの大好きな友達の一人。見るもの全てを虜にするような真っ黒で艶やかなロングヘアーと、触ったら砕けてしまう繊細なガラス細工みたいな華奢な体が特徴の日本人形のような女の子。「なんでもなあい。」あたしは軽くごまかした返事をした。だってかしゆかに周りの情景に感化されて感傷に浸っていたなんて気づかれたら笑われるだけだもの。そんなこと言えるのはそうあの子だけ。